そこまで考えたら気になった。

 今、このまま海に入ったらまだ寒いのだろうか。

 それとももうしっかりと海日和なのだろうか。

 気になったら俺は立ち上がっていた。

 そのまま殆んど無意識に足を前へと踏み出していた。

 既に裸足だった俺はなんの躊躇もなく海水の中に足を浸けた。

 砂浜の上を歩いて熱を持った足に海水の水温は心地よかった。

 俺はそのまま波が寄せては返すリズムに身を任せた。

あの日、俺は確かに海に入った。

まだ少し冷たくはあったけど、海の中はとても柔らかだった。