ミーンミンミン。
みんみん蝉の鳴き声に目が覚める。
まだ薄い意識の中で思い出したのはあの日の海でのことだった。
夏の始まりの暑さ。
あの日は確かめちゃくちゃ暑かった。
あの体育館での演説は地獄だった。
内容など入ってくるはずもなく、ひたすらに早く終われと願うばかりだった。
そんな日昼の暑さはいつまでも地面に居座っていて、日が落ちても充分に暑かった。
実の所、俺は夏が苦手だった。
冬か夏かと問われれば迷いなく冬を選ぶ人種だ。
寒いのと暑いのとどっちがマシかとか言うのではなく、単純にその季節が持つ雰囲気が冬の方が好きだった。
夏は少し強すぎるのだ。