そして、袂をヒラリとさせながら振り返り「行こうか」とたっぷりの笑顔を向けてきた。

「ああ、行くか」

ミーンミンミン。

あれ?

さっきはどうして終わりだなんて思ったんだろう。

まだ今は花火が打ち上がるには明るすぎる時間で、会場にはたった今入口にたどり着いたところで。

よくよく思えば終わるどころか始まってすらいないじゃないか。

「まずはなにか食おうぜ。そうだな、たこ焼きとか?」

「うん!いいよ!行こう!」

彩蓮が俺の手を引く。

そうやって、俺は今年も賑わうその場所に紛れていった。