それは高校からとかではなく、物心着いた時からずっとそうで一定のグループに属しきらないのは言うなれば僕のポリシーみたいなものだった。
楽なのだ。
関わりたい時に関わりたい時人と自由に関わりを持つ。
この距離感だと無駄な喧嘩をすることも無く、暇を持て余すことも無く、ただ楽だった。
「ナルー。腹減ったなぁ」
そう言いながらイッチーは俺の隣にスっと立つ。
ほら、いじめでは無い。
一度特定の誰かと話しだしたらずっと放っておかれるわけじゃない。
一頻りを終えるとみんな僕に話しかけてくる。
その間のちょっとした時間など空を見上げて浮かぶ雲をいくつか見ているだけであっという間に終わってしまう。
「だなー。でもほら、見えてきた」
だから俺はこの距離感に居心地の悪さは感じない。