『なぁに?』 『なんでもないよ』 僕の言葉に、隣に立つキミはまん丸に微笑む。 『ただ、始まるなって』 『うん。そろそろくるね』 耳を離したって下からは誰かしらの幸せそうな音がここまで届いてくる。 不思議だ。 ほんの少し離れた場所なだけなのに、あっち側はとても賑やかで、だけどこっち側はとても静かだ。 「ご来場の皆様、大変長らくお待たせいたしました」 会場内に設置されたスピーカーから始まりを告げるアナウンスが流れる。 『あれ?』 『どうしたの?』 『いや、なんでもない、かも?』 『ふふ』