中田くんと向かい合って二人同じ味のコロッケを貪りながら続ける。

「イッチーがさ、雨が今のうちに降ればいいとかって言うんだよ。花火大会当日が晴れる確率を上げるために今のうちにその日の分まで降っとけ的な。なんかさ、可愛くなっちゃってさ。からかったんだ」

中田くんは無表情のままコロッケを咀嚼。

それから喉仏を上下させて飲み下した。

「成流は?俺たちと花火大会行かないの?」

「んー、花火なぁ」

夏の気配を感じるようになってから誘われている花火大会。

みんなは俺含めのメンバーで行くのが当たり前だと思っているらしいが……。

「蚊に刺されるからさ、嫌なんだよね」

俺の返答に中田くんは苦い顔で笑う。

中田くんは人の心の機微を汲み取るのが上手いから……。