少し残念なのはせっかく都会のカフェ風にリフォームされた店なのに中田くんのお母さんは中々に、その、この町にフィットする性格で、故にお洒落な店構えとは正反対に店内は市場顔負けの活気ある声で満たされている。

外観お洒落で雰囲気は市場。

売られている惣菜は程よく懐かしさのある絶品ばかり。

中田くんのお母さんはそんな少し不思議な惣菜屋の名物的存在なのだ。

「何?食う?」

見すぎてしまったか。

中田くんはひょいと弁当箱をこちらに向けている。

「サンキュー。でも大丈夫。俺のにも入ってるんだこれが」

「毎度ご利用ありがとうございます」

そんな町の惣菜屋だ。

もちろん我が家も遠慮なくご贔屓にさせてもらっている。