俺は今暗い中をひたすらに歩いている。

あまりに真っ暗なせいで視界には何も捉えることが出来ない。

でも不思議と歩いていて恐怖は無かった。

むしろ何故か安心して歩けた。

だってないのだ、何も。

ここには怯えるべき対象もなければ安楽の存在もない。

全てが無い。

唯一あるのは静かな無。

ブッブーブー。

そんなこの場所で急に轟く聞き覚えのある音。

ちょっと待て?

ここは何処だ?

俺はどうして今歩いている?

脳内に存在しているであろう直近の記憶を探る。

静かだった。

今もだけどもうしばらくずっと静かなままだった。