表情を見なくてもここからだって声だけで分かる。 会場には喜びとか期待とか楽しいとか、そんな幸せそうな気配が立ち込めているのが濃く伝わってくる。 俺もなんだか急にそれに触れたくなって、木の脇に立つ彩蓮の隣へと移動する。 ミーンミンミンミン。 斜め横に生えている木から蝉の鳴き声が強く聞こえた。 ああ、夏なんだなと、そう思う。