「今年もあっという間に夏休みが終わっちゃうねー」

「ああ」

「本当に、雨が上がって良かったね。日環なんて貴重なものも見れたし、花火も見れるし」

ここは人混みから外れた丘陵地で、周りには沢山の木が生えていて、蝉だって沢山鳴いている。

それでも全くの隔離地帯って訳でもなくて、蝉の鳴き声に混ざって花火を見に来ている人の興奮した声が聞こえる。

木々の隙間からは提灯やランプの灯りが見えている。

「今年も来れてよかったなー」

「どうせ来年も来るんだろ?」

「みんな楽しそうだね」

いつの間にか、彩蓮は木々の途切れている場所から下を見て会場にいる人達を見下ろしている。

「ああ」