「どう?」

そしてやっと解放された頃には花火の打ち上げまであと数時間を切っていて、今は浴衣に身を包んだ彩蓮がキラキラとした瞳で感想を求めて俺を見ている。

「普通に似合ってるよ」

「普通にって何?もっとちゃんと褒めてよ!」

なぜ褒められる前提なのかいささか疑問ではあるが、

「夏って感じでいいんじゃないか?」

一応コメントを付け加える。

「うー、まあいいやー。花火、楽しみだねー 」

彩蓮は袂をヒラヒラ弄ぶ。

彩蓮が着ているのはまさに浴衣!なイメージ通り深い紺の生地に色鮮やかな朝顔をあしらった物だった。

色も柄も多彩なバリエーションがある中で、きっとこの浴衣は地味とか古いとかって部類だろう。

でもだからこそ夏って感じがする。