台所の方からは味噌汁の匂いが漂ってきている。

それとこれは、魚を焼く匂い。

だけど音だけはあまりはっきりとは届いてこず、蝉の鳴き声だけが聴覚を満たす。

「なーるー!起きて!」

 と思いきや、突如脳内に鳴り響く声。

「うっるせーよ!」

 大声と共に入ってきたのはもちろん彩蓮。

「あ、今日は目覚めがいいね?ってそうじゃなかった!あれ?窓開いてるの?もしかしてもう外見た?」

「いや、見てない。ってかごめん。まじでボリューム下げてくんね?」

 外が云々とか花火がとかどうでもよく、よくはないけど(実際さっきまで気にはしていたし。俺だって晴れて欲しいと思っているし。だからこそ天気を確かめることも出来ず布団でタラタラと考えていたわけだし。)でもどうでもいいとか思ってしまうくらいにめちゃくちゃ煩い。