「はっはっは。そりゃ大家族だ」

 駄菓子屋のおばあさんは嬉しそうに彩蓮から五体の照る照る坊主を受け取る。

 そう、俺が思いついたくだらないこと。

 それは町中にこの大量の照る照る坊主をぶら下げたら面白そうだなとか言うやつ。

 が、言う相手を間違えた。

 イッチーはきっと彩蓮と同じく悪乗りしてくるだろう。

 だけど他三人が絶対に止めてくれる。

 だからこそ俺はふざけられていたのだ。

 しかし……、ああ、どうして俺は彩蓮にこんな余計なことを言ってしまったんだろう。

「これから町中に配りに行くのかい?」

 おばあさんが空を覗き込みながら聞いてくる。

「うん!花火大会はもう明日だもん!今日中に照る照る坊主を吊るしてもらわないと!」