「なぁ彩蓮」

「なーにー?」

「俺さ……、ちょっとでかい事思いついちゃったかも」

「えー!?なになにー?」

彩蓮は大きく驚き、そしてすぐにボリュームを下げて耳を傾ける。

何も悪い事をしている訳でもない。

特段秘密の話がある訳でもない。

そもそも思いついただけで”それ”を実行するつもりも更々ない。

 だけど彩蓮が耳を欹てるから。

 なんだかそういう空気を出すから。

 俺は単なる思い付きを小さな声で彩蓮に耳打ちした。

「わぁ!それ!すごくいい考えじゃない?」

 が、せっかく雰囲気を出していたのに彩蓮がでかい声でぶち壊す。