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今日は朝から静かに細かい雨が振り落ちている。
梅雨明け初めての雨は昨日よりも更に視界を暗く包んでくる。
天気を知らなければまだ夜が明けてないんじゃないかと思うくらいには暗い。
「ほら、手が止まってるよ」
そんな、夏休みもあと数日となった雨の日の午前中。
高校生になった俺は何故か又従兄弟と家に籠って何体もの照る照る坊主を作成していた。
「もうよくねぇ?何体作るんだよ。ってかマジで作りすぎだって!こんなに何処にぶら下げるつもりだ?」
「だってー、明日は待ちに待った花火大会だよ?夏休みのメインイベントだよ?絶対に晴れて欲しいもん!」
まあ、実際雨で延期ならまだしも中止とかになれば多くの人がガッカリはするだろう。
この首都圏から離れた田舎の町で、夏の、明日の花火大会は一年通して一番のビッグイベントだ。