「なんだそれ」

「へへ」

彩蓮は小さく笑う。

それを見て俺も「はっ」と、短かく笑ってしまう。

「行こうか」

「うん!」

歩き出す直前、俺を引き留めていた彩蓮の手が離れた。

それがなんだか寂しいと思ったのは今が夏の夕方だからだろうか。