それにこんなにどんより漂うよりも、普通はもっと鮮やかでキラキラと透き通っていて、そんな海をイメージする。

はずなのに、俺は見上げたその空に確かに海を見た。

実際、最近こんな色の海を見た気がする。

こんな見上げるような距離でなくもっと近くで……。

確かあれは……。

「危ないよ」

突然腕を引かれ、同時に静かな声がすぐ近くから聞こえる。

「成流、危ない。ぶつかっちゃうよ?」

どうやら俺は空を見上げたまま歩いていたらしく、彩蓮に止めてもらわなければ危うく電信柱にぶつかる所だったらしい。

「おー、サンキュー」

「軽いなー。もっと気を付けないと。成流が怪我したら私はとても暇になっちゃう」