しかも日によって色や形を変えるその世界に、どうやら人間は飽きないらしい。

 高校に入学し、窓側の席になってから、俺は授業中、休み時間問うことなく、加えて学校か家か、はたまた外出先かも関係なく、気が付くと空を見上げるようになっていた。

ふと、一つの雲が視界に濃く映る。

何かが喉のすぐそこまで上がってきている。

なんだったっけ?

あれは、あの形は……。

「おっと、もうそんな時間か」

廊下にざわめきが広がり始めてからやっと、我がクラスの担任も現在時刻に気が付いたらしい。

HRの時間をたっぷり五分程超過。

たかが五分。

然れど五分。

後は解放を待つばかりの俺達にとって、その五分は無限のように長かった。