「成流?なんだか私たち、海の中に潜ってるみたいじゃない?」
「はぁ?」
どんよりとした空の下を砂利を踏みしめて歩いている状況で一体どこから海がでてきたのか俺には検討もつかずに浮かんだままのクエッションマークを彩蓮へ投げつけた。
「だって、見て」
彩蓮はそう言って空を仰ぐ。
「……」
同じ色、同じ重さ、同じ濃さで塗られた青みを帯びた薄い紫色の空が低い位置まで落ちてきている。
彩蓮がこれを海と例えているのならば確かに海の中に潜って歩いているような感覚になる。
だけど、普通はこの色の空を海に例えたりしないだろう。
海、しかも季節を加味するとしたら真夏の海。
それはもっと綺麗な青色をイメージする。