ドカッ。

俺は彩蓮の向かい、一つ席をずらして座る。

「あ、怒ってるー。成流ごめんねって。そうだ!帰りにお詫びするからさ!ね?許して?」

「別に怒ってないよ」

「ありがとう」

彩蓮はホッと笑を零してから再び手元の本に視線を落とす。

別にただ少しイラッとしただけで本当に怒ったりはしていなかった。

だから、彩蓮の指すお詫びがなんなのか分からないが(まあ、そんな大したものじゃないだろうが)そんなものは断ろうと思った。

彩蓮が移動してまで移った席は窓際の四人がけのスペースだった。

グループ学習用にでも設置されたのだろう。

窓際で一見穏やかそうな場所にはあるがその近くには児童書や参考書の棚がある。