もう活字は充分すぎるほど読んでしまった俺は何となく大型の図鑑が置いてあるコーナーをうろついた。
まだ、写真か何かあるほうが時間も早く過ぎるだろうと思ったのだ。
「長かったねー?何かあった?」
「……」
俺が選ぶのも勿論遅かった。
なんせ読みたいものがある訳でもなく、惹かれるものも見つけられず。
それは認めよう。
だが、ここまで遅くなったのは彩蓮を探してたからだ。
何故かこいつは最初に決めた席と違う場所で勝手に読書を始めていたのだ。
「なんで席変えたんだ?探したんだけど」
「ごめん。なんだか今日は隣に人の居ないところで読みたかったの。そしたらここが空いてるのを見つけてついつい」
彩蓮は反省の色もなく『てへっ』とでも言うかのように舌を突き出している。