俺は今、ランチは何にしようかと考えている途中だった。
「夏と言うのは気が緩みやすくなり……」
耳を傾けると教師のスピーチはまだまだ続きそうだ。
高校に入学してからまだ一度も席替えはしていない。
何の計らいか、名簿とは逆の並びに各自の席は決められている。
計らいの意図は汲み取れないが、まあ、結果先生ナイス。
名簿順だと必ず廊下側になるが逆とあらば俺の席はたちまち窓側へと変る。
特に空や雲に興味はなかったが、窓側の席になってから俺はよく空を見上げるようになった。
なんだか無になれるのだ。
多分、流れる雲のスピードが丁度いい心地なのだ。