「そりゃ時期だからな」
「成流は感動が少ないなー。すごいことなんだよ?自分の家の敷地内にこんなに大きな畑があるって!もっとテンション上げないと!」
って言われてもだ。
生まれたときからうちには畑があって、毎日毎日それを見て、実がなれば毎日のように食卓に並ぶそんな普通を、今更どうやってテンションを上げろと言うのだろう?
目の前に広がる景色もうるさい蝉の鳴き声もこの夏の暑さですら俺にとっては今更だ。
「さてさて、では取り掛かりしょーか!」
彩蓮はつくづく変なやつだと思う。
まだ九時にもなっていないのに夏の外はとても暑い。
鬼暑い。
その中で、これからやろうとしているのはただの草刈りと水やり。
なのに何だ、この笑顔?