視線を傾けると、知らないおじさんが私のお尻を触っていた。 サラリーマンだろうか。 分厚い眼鏡に少しくたびれたスーツを着ている。 スカートの上から感触を楽しむかのように触ってくる手つき。 (怖い・・・・・。誰か・・・・・・。) バッグを握る手が強くなる。 腕を掴んで『この人痴漢です!』とか『助けて』って叫べばいい。 頭では分かっている。分かっているけど・・・・・・。 そうしたいけど、私はそれを実行する勇気と声が出なかった。