きっと全て至って本気の言動行動。

本気で危惧して、本気で独占したいと思っての行動で。

本気で………私が可愛くて、愛おしいとまっすぐに見つめ下ろしてくる双眸が言ってる。

今なら……それをはっきりと読み取れる。

畜生………悔しくも嬉しい。

肌は物凄くひりひりと痛いけれど。

それでも……今までの痛みに比べたら……極上に甘い。

「……っ……」

「日陽……」

手加減した頬への甘噛みも。

ヒトっと密着した額も顔の距離も。

あ……先生と初めての…

キス…………


「……………ご飯食べようか」

「…………………はっ?」


てっきりだ。

てっきり額が引っ付いたあとはもれなく唇が重なるものだと思い込んでいた。

その為の準備とばかりに目まで閉じかけていたのに。

緊張しながら唇を閉じたというのに。

耳に響いてきたのはそんな空気を一瞬で吹き飛ばす勢いの生活感というのか。

そりゃあ間の抜けた声も出ますって!!

なのに先生ときたらさっさと私の体を解放するといつもの自分の席へとその身を返すのだ。

しかも、欠伸混じりに。

いやいやいや、ちょっとさ!!

「先生っ!?」

「………ん?」

いや、そんな『どうした?』って気だるげな反応じゃなくて…

「キ、キスしないんですか!?」

「………なに?……したいの?キス」

「っ……い、いや、したいしたくないで言ったらし…ごにょごにょ…」

したいしたくないというよりする物だと思ってたんですよ。