ああ、きっと……
「………先生が私を女として触れなかったのは……私が科した先生への【罰】ですか?」
……両方?
私も出来た人間なんかじゃない。
ましてボロボロに弱り切った荒んだ心で受けた懺悔には少なからず酷いと思ったんじゃないだろうか。
だったら、きっと……そんな先生に下す罰は先生の目の前にあるのにその手を伸ばす事を禁ずる事。
それはきっと、罰を欲していた自分にも痛く苦しい罰であって。
「『どんなに私から求めようと手を出してはダメです』……そう言われたよ。」
「……」
『もし、私が【呪った】事で先生が独りになってしまったというのならその責任はとって一緒に居てあげます。先生が望むまま、先生が思うまま私を先生一色に染めてしまえばいい。それこそ、痛みや苦しみまで全部』
『俺の……罰は?』
『……手が届くのに掴めない事。自分の理想通りに私を染めていくのに女として私を抱きしめられない事』
『………ピヨちゃんが求めてきても?』
『求めてきてもです。それは同時に私に罰を科せることになるでしょう?先生も私も同時に苦しんで……苦しいと感じる程に両想いで。……私達に相応しい罰だと思いませんか?』
「綺麗に微笑みながら、なんて残酷な女なんだろうって思ったよ」
「残酷……ですね」
「そのくせ、次の日には自分だけきれいさっぱり全部忘れてるんだから。………殺してやろうかと思った」
「っ……そ、それは不可抗力…」
「おかげで一人覚えて罰を実行する俺はピヨちゃんの中でそれはもう酷く残酷な男だっただろうよ」
「っ~~す、すみません」
いや、確かにまさにそう思ってましたけどね。
だって、そんなくだりは全くと言っていいほど覚えてなかったんですもの!