熱かった筈の体が一瞬で冷やされて、さっきとは違う目眩に揺れそうで。

顔を上げるのが恐い。

……辛い。

それでも持ち上げてしまったのは、愚かにも微々たる期待に縋ってしまったから。

そうして絡むのはどこまでも【先生】のままである姿と、

「……ピヨちゃんを、抱くつもりはないんだよ」

ひとつひとつ、大事に集めた期待の粒を吹き消す様な結論。

見開いている目が瞬きをひとつすればポロリと意味を無くした期待が溶け込んだ涙が頬を伝うのだ。

ポロリ、ポロリ、

ハラリ、ハラリ、

ポトポトッ、

ハラハラッ…。

あ…れ?

おかしいな。

「っ……」

いつの間に、こんな止めどない残骸になる程の期待を持ってしまっていたのだろう。

苦くて、苦くて…、

痛くて、痛くて…、

さっきまで感じていた甘さ全てが全て猛毒であったのだと身を持って知って。

与えられた全てがまさに罰に相応しい。

相応しすぎて……耐えられない。

甘いと感じた全てが、

「_____っ」

「っ…ピヨちゃん!」

その呼び方すら。

…見つめてくる双眸にまで。

殆ど衝動だ。

一瞬で毒と化した甘さを少しでも払いのけようとした自己防衛。