どうしようか。
困るくらいに疼く。
こんな事を思ってしまうのは反省もなくて。
……それこそ罰当たりで。
なのにどうしても……。
先生に……触りたい。
「ピヨちゃん、」
「っ……」
「花火が上がる。……行くよ」
まるで、読心術だ。
心を読まれたかのようなタイミングにスルリと絡みついてきた手の熱と感触にはクラリと逆上せた。
気持ち良くて、気持ち良くて…。
それでも、どうしてか物足りなくて。
物足りないと思った瞬間に思い出させるようにジリっと胸元が焦がれるのだ。
もっともっと…。
深く強くしっかりと。
先生に触れたい。
腕の中に収められたら。
先生、先生、先生……。
先生……。
「ついたぞ、」
「こ…こ?てっきり神社で見るのかと」
先生に引かれるままについて歩けば、自分が考えていたところとは違うところに向かっていて。
神社の裏手。
けものみちと言える緩い傾斜の山道を疑問を感じながら登って数分。
ほんの少しの高台と言える場所は特別整った足場ではないけれど目の前は開けて夜景が広がる。
こんなところがあったとはと思った刹那だ。
「あっ……」
「……ギリギリだったな」
パッと少し離れた夜空に閃光が広がって、キラキラと振り落ちる火花の儚く綺麗な様には足の疲れも汚れも意識から消えた。
本当に絶景。
会場である河川敷からは距離はあるけれど、丁度阻むような建物もなく、あがるままの花火を全てその目に焼き付けられるのだ。