ああ、それにしても…。
「あら、高瀬先生お久しぶり」
「あ、どうも」
「珍しい人がいたもんだ。先生元気してましたか?」
「おかげさまで」
予想通りに知り合いと遭遇する事の多い事と言ったら。
知り合いと言っても大幅先生の病院の患者さん繋がりなのだけども。
数歩歩く度に声をかけられる先生の隣、今やすっかりあの病院の医院長は先生なんだなと実感したほど。
そして、こういう知り合いに遭遇して言葉を交わす先生は私の知ってる先生とは少し違う。
なんか、新鮮でいいな。
「まあ、高瀬先生」
「……あ、」
ああ、ほらまた声をかけられ………
てぇぇぇぇぇっ!!
もう反射的。
呼びかけに何気なく先生と一緒に振り返ったけれどすぐに顔の向きを逆戻し。
心臓は激しくバクバクと鳴り響いているし。
いやもう本当、このお面はグッジョブだったと今なら素直に思える。
だって……マジにお母さんに遭遇してるじゃん!!
当然もれなく、
「コレはまた、先生ご無沙汰してます」
「こんばんは河本さん。こちらにはご夫婦で?」
お父さんもいるし!!
「フフッ、もう毎年恒例なんですよ。縁日にかこつけて家事も楽出来ちゃうし」
「先生もこの祭りには毎年来てるんですか?」
「いや、それこそご無沙汰だったんですよ。久しぶりに顔を出してみようかと思いまして」
「あらいやだ、ご一緒の方がいらしたのね。ごめんなさい足を止めさせちゃって」
あ、息を殺してたのにやっぱり気づかれた。