薄々わかってはいたけど。
いや、薄々というよりかははっきりと本人に宣言されていたけれどもさ。
「先生って……本当私の事が好きですね」
「何を今更。好きじゃなきゃ結婚なんかする筈ないだろう」
「………」
なんだろうか?
この何とも言えない両片想いは。
好きだから結婚したんだなんて文句は普通逆上せ上がって喜んでいい筈のものであるのに。
問題なのは先生言う好きがラブではなくライクであるというところだろうか。
確かに好かれているという意味では実感はあるんだけども。
「あ、そうだピヨちゃん」
「はい?」
「お手、」
「……ペット扱いも大概にしないと実家に帰りますよ?」
「その実家に帰れないから俺の奥さんになってるんでしょ?狐面被ってるんでしょ?」
「先生嫌い」
「ピヨちゃん好き」
ああもうっ、わかりましたよ。
乗せりゃあいいんでしょ!乗せりゃあ!
もういいわっ!
と、先生の手を叩く勢いで手を乗せてみればだ。
「……なんですか、コレ」
「見ての通りの指輪ですね。エンゲージリングとして…」
「サイズ調整可なプラスチックのおもちゃの指輪がエンゲージリングとかどんな安上がりな女ですか私。しかも右手なんですが!?」
「……ピヨちゃんて、長ったらしい返しを言う時程裏に単純な素直な言葉があるよね?」
「っ…お面も指輪コレもありがとうございましたっ」
「うん、どういたしまして」
悔しぃぃぃ!
何が悔しいって…、内心がっつりと喜んでいた単純な自分が。