繋いで歩くことが夢だった癖に……。

「じゃあ、繋ごう」

「はっ?!っ……」

有言実行。

あり得ないと突っぱねたつもりであったのに、返される言葉も行動も予想外で。

それなのに、スルリと指の隙間を埋めにくる熱や骨ばった感触に、一気に喉元まで言いようのない感情が込み上がって眩暈すらする。

何でなんて問う事すら出来ぬ胸の詰まりには表情でそれを問いかけていたと思う。

そんな私を捉えてか、それとも問わずともなのか、

「ピヨちゃんが嫌ならしっかりとやらないとね、」

「っ……」

そんな一言とさらり手を引く力と。

「……さて……どこに行こうか?」

「別に……どこでも……」

「……デートのど定番と言えば…あてもなく気分のままに雑貨屋巡りしたり、お洒落なカフェで甘いもの突きあって、デートスポットの観覧車に乗ってみたりとかか?……うわぁ、…おっさんにはもうちょっとしんどいわぁ」

「………安心してください。私もそんな風に歩き回るのもお洒落なカフェも観覧車もしんどくて嫌ですので」

「……じゃあ、気張って巡りますか」

「っ……」

狡い。

先生もだけど……

私も。

本当は薄々私がそういう定番なデートに憧れているのを分かって言い並べて。

さっきの今ですよ?

私だって馬鹿じゃない。

『嫌』だと拒絶すれば先生が実行する事は学習したばかりなのだ。

それなのに敢えて今それを仕掛けてくるなんて。

それに私も見事拒絶を返してみるなんて。