ああ、休日の街中のこの賑やかな事よ。
夏晴れの下行きかう人間の多い事と言ったら…。
「……先生、」
「ん?」
「どうしましょう?物凄く…悪い事してる気分です」
「………」
いや、『何でそうなる?』的な痛い目で見るのは止めてください。
仕方ないじゃないですか、ずっと日の下では後ろめたい恋愛に足を突っ込んでいた私なんですから。
どうしても日の高い時間での逢瀬も慣れないものであるなら、一緒に並んで歩くなんてイケナイ事の様な気がして。
昼間のデートなんてものに興味と好奇心に満ちていたのは玄関を出る前まで。
一歩外に出てしまえば途端に『いいのだろうか?』と不安と戸惑いに満ちてしまったのだ。
街中に入ってしまえば更に。
こうしてる間にも誰かに咎められている気がして、やっぱり帰ろうか?と足取りが重くなって、
「それで……こんな離れた後ろを歩いてるの?」
「っ……大丈夫です。ちゃんとついて行ってはいますから」
だから、そんな呆れた感情ダダ漏れの無表情で咎めるのは止めてください!!
言い訳をすれば『無意識に』なのだ。
最初こそちゃんと隣に並んで歩いていた記憶はあって、それでも後ろめたさや不安を覚えて行くほどに気が付けば先生の後ろ姿を追う様な形になっていて。