所詮、自分は先生のお祖父さんの小児科に通う馴染みの患者で。
不愛想な先生がたまたま気にかけてくれる子供であったに過ぎないのだ。
13歳と26歳。
恋愛感情を共有するにはその年の差が酷く大きく叶わない可能性の方が大きい事も分かっていた。
分かっていたけれど。
『先生、』
『ん?』
好きでした。
先生からしたら笑ってしまうくらい幼い恋情だったかもしれないけれど、私という捻くれ者を理解して甘やかしてくれた事が凄く嬉しくて心地よかった。
先生が……欲しかった。
『結婚……おめでとうございます』
『………』
『先生は優しいから……きっと素敵な旦那様になれます』
嘘、他の人にまで優しくしないで。
他の人に素敵だなんて思われないで。
『……ピヨちゃん、』
『っ……幸せになってくださいね』
幸せになんてならないで。
『っ___』
綺麗な言葉の裏でそんな言葉を響かせる自分はどれだけ醜い女なのか。
それでも、最後までまっすぐに先生の顔を見て最後まで笑顔を持続させたのは褒めてあげたい。
ああ、でも……。
もしかして私が本心でこんな事を願ったから本当に先生は離婚してしまったんじゃないだろうか?
だとしたら……
やっぱり私は罰を受けるべき女であるのだ。