ああ、……そういう事なのか。
『ピヨちゃんがピヨちゃんでピヨちゃんのままだったからどうしても欲しくなった』
あの一言もあの言葉のままなのか。
つまり、先生が欲するのは異性としての私じゃなくて愛玩欲求疼く『ピヨちゃん』という生き物で。
私を日陽おんなとして愛玩する気はなくて。
これは確かに………尼寺に出家の様な感覚。
自分を女として見てくれぬ男性に尽くして熱情孕まぬ愛玩だけは惜しみなく与えられて。
なんて甘く苦い罰なのか。
なんて相応しい罰なのか。
それでも、名ばかりに【夫婦】だなんて甘いごっこ遊びが含まれる贅沢とも言えそうな罰。
それも初恋の相手との。
手が届く筈の無かった先生との。
もうどうせ恋なんてしないつもりであったのだ。
それを貫くにもこの【夫婦】という枷は自分を戒めるにはおあつらえ向きというものじゃないか。
それに……もう複雑に思い悩むのにも疲れた。
そんな結論に失笑するように口の端を上げてしまえば、
「……先生、」
「ん?」
「も…いいです」
本当、…疲れた。
「……罰して下さい」
「………」
罰の受け入れ。
「末永く……責任を持って罰して飼ってくださいね。」
そう白旗の一言を弾いてしまえば、言葉より早く与えられたのは頭を柔らかく撫でる残酷な程心地の良い感触。
「……よろしくね、奥様」
追って響く、心地良くも罰の始まりとなる響き。
コレが……私と先生の夫婦の始まり。