ここまで来れば流石に薄々話は分かった。
いや、先生の方の事情は分かった。
つまりは、
「バツ…イチ?」
「……一応昨夜も一通り話た筈なんだけどね。ものの見事、笑いも吹き飛ぶくらいにきれいさっぱり忘れてくれちゃってまあ…」
「っ…すみません」
「これに懲りたらお酒は控えめに、」
「言われなくとも、」
「ピヨちゃんには俺の余生を担ってもらうんだから、」
「わかってま…………………っすぇん!!」
「……何を?」
いや、『何を』もなにも、何の全てと言えるでしょうよ!!
バツイチだってとこまでは常識的に理解は出来る。
それでもだ、何がどうしてどういう流れで私が先生の『奥様』枠に収まっているのか!!
意味が分からない!!という感情が表情全面であったのだろう。
それか、流石に事の大きさを汲んで説明してくれる気になったのか、切り替えるように肩でフウッと息をしたのは視覚で捉えた。
他所を見ていた双眸がスッと静かに自分の疑問に向き直ってくれた直後。
「不倫なんて最低だ」
「っ……」
「罰を受けてもおかしくない。いや、罰を受けて当然だ」
「っ……分かってま…」
「って、……ピヨちゃんが言ったんだよね」
「えっ…」
「懺悔するみたいに俺に縋って…。罰を欲するみたいにね」
「………」
何故だろうか。
される説明になんの反論や反発もなくストンと納得してしまうのは。