自分の感情崩壊のせいもあるけれど、色々な情報処理や伝達が上手くいかない。

何を優先させてどれから処理していっていいのか。

何かを行動させなければとは思うのに、如何せん自分を包む温もりが心地よすぎて。

どうでもいいじゃないか。と思考を手放したくなるほ……。

いや……手放したら駄目だ。

寧ろ優先事項はここだろうと、皮肉にも心地の良い温もりに自分の理性が復旧したのだ。

復旧してしまえば、当然引きはがす勢いで先生の胸を突っ張っていて。

非難するようにその顔をじろりと見つめ上げる。

なのに、逆に見下ろしにくる表情は『どうしたの?』と言わんばかりに疑問の様な物まで孕んで見えるのだ。

本当…この人は……。

「だーかーらぁー、こういうのは困ります!」

「こういうのって?」

「不謹慎で不誠実なラインの抱擁の事ですよ!」

「何を今更。昔はたまにしてあげたじゃないか」

「小さい子供相手にしてるのと違うんですよ!?先生も大人なら私ももう列記とした大人の女なんです!!」

「……大人ねえ。…相変わらず不器用な生き方して、それで恋愛も拗らせて。甘え下手なら消化も下手。結局今みたいに感情を爆発させては今みたいに俺に宥められてやっと落ち着く、昔とまーったく変わってないピヨちゃんが……大人?」

「っ……ご、御尤も」

くっそ、言い返そうにも痛いとこ突かれすぎて、何を言っても負け惜しみにしかならない気がする。