コレが今の私だ。
淡々ドライで、今更男女のそれに夢や期待を膨らませるでもない。
まして、同じ轍を踏む気もない。
妻帯者である先生になんてもってのほか。
仮に酔った過ちで一線を越えていたにしてもそれ以上に発展させる気もないし。
そもそも……
「………抱いてませんねえ」
「だと、……思いました」
この人はそこまで愚かで残酷な男ひとでない筈なのだ。
さらりと躊躇うことなく追及してしまえば答えもまた躊躇いもなく。
こんな簡単で単純な事だったんじゃない。
何を恥じらって先延ばしにしてたのやら。
馬鹿らしいと零した失笑は自分に向けて。
それでも、これで何の問題もなく行動に移せるというものじゃないか。
そんな結論からの行動は迅速で、スッと立ち上がると纏っていたシャツを脱ぎ始める。
当然先生の前での生脱ぎとなるが今更下着姿のお披露目に動揺する自分でもなく。
先生であっても今更女の下着姿に焦るような経験値ではないだろう。
まして私みたいな青臭い小娘に欲情するような…、
「けしからんねえ」
「………はい?」
響いた声に特別な焦りや動揺はない。
振り返り捉えた姿も然り。
一瞬、自分の空耳であったのではと疑う程の変化のなさであるというのに。
「そんな易々と……男の前で裸になるなんてけしからんよ?ピヨちゃん」
淡々とした口調の一言に怒気を感じる様な勢いも表情もないのに。
何故こんなに悪い事をした時の様な焦りが生じるのか。