「あの……先生」
「んー?」
「大変申し上げにくいというか……聞きにくいのですが……」
「うん、」
「その…昨夜………私はどんな粗相をしてこんな状況になったんでしょうかね?」
「………『こんな』って?」
「っ……」
そこ……掘り下げますか?
しかも真顔で。
『こんな』と言ったら『こんな』だろう。
目が覚めたら明らかに一夜の過ちがあったであろう朝の状況と、誰が事細かに言うだろうか。
そこは言わずもがなで汲んでくれよ!と嘆いたところで先生の姿勢は変わるでもなく。
追及の視線にどう返していいものかと唇だけを無意味に開閉していれば。
「………まあ、粗相なんてものはなかったと思うけど」
「……っ……本当で__」
「ちょっと病院ウチの前で酔いつぶれてたのを部屋に連れ込んで服剥いで介抱したくらいで」
「っ_____」
それ……完璧に粗相です。
そして服を剥がれた後にどんな【介抱】があったのかが一番の懸念事項なんですが。
しかしながら、今のこの時点でかなりHPが0に近くなったと思う。
今その先を聞いてしまえば確実に致命傷に__
「ああ、でも………酔っぱらったピヨちゃんは甘え上手で可愛いかったな」
「っ______」
あっ……死んだ。
「あんなに甘え下手だったピヨちゃんが『先生』『先生』って縋りついて甘えてくるんだもんなぁ」
更に、追い打ちにめった刺し。
ああ、先生。
もう無表情にわざわざ回想して私の精神を殺さ…___
「あんまりにも可愛すぎて……」
「………」
「……『けしからん』よ?ピヨちゃん」
「っ~~~」
『けしからん』のは……先生の無責任な甘い毒ではないですか?