今日も爪の先まで艶々だな。と、頬に這わせられている指先に意識を走らせされるがままになっていた最中だ。
「仕事しろよカマ野郎」
そんな罵声と、何とも言い難い鈍い音は同時に聴覚を擽ったと思う。
視覚には勢いよく振り下ろされてきた手刀が私に触れていたイズミの手を叩き落としたのがしっかりと映り込み。
突如介入した存在にさして驚きもせずに意識を移すと、予想するまでもない姿が不機嫌を携えてそこに在った。
「ちょっ・・いったいわねぇぇ!あんた今ガチな力だったでしょ!?暴力に訴える前に口で言いなさいよ!!」
「ミモリさん、それ俺の確認待ちですよね?」
「チェックお願いします」
「無視っ!?まさかのミモリまで無視?!キィィ!!」
「うっせぇぞ。今すぐ裁ちばさみで去勢しててめぇの事完成させてやろうか?」
「あんた、本っ当に期待を裏切らない感じの悪さよね!?こんの残念カップルが!」
いや、待て。
何で最後に私まで巻き添えに詰られたんだ?
そんな事をチラリと思えどいちいち食って掛かる気もない。
それでも呆れた眼差しで視線を動かすと、すでに『フンッ』と言いながら仕事に戻るイズミの背中を捉える事になった。