「だから、あんまり他の野郎と仲よさげに話して嫉妬さすんじゃねぇぞ」

甘さなんて一瞬で溶かしきるような嫉妬で研ぎ澄まされた鋭利で冷たい言葉には、好かれているなんて歓喜すら飛んでゾッとする程。

何が恐いって、これを発した彼が威圧的な笑みで私を見つめている事。

「っ……イズミの事なら男として含める必要は、」

「あいつが性転換して身体から女になってきたらその言い分聞きつけてやるよ」

「お、横暴!男云々の前にイズミは私の数少ない友達…」

「必要ねえんだよ」

「っ……」

ズイッと至近距離に寄った顔に言葉を摘ままれる。

その口元は緩く弧を描いているのに、魅惑的なオッドアイは微塵も笑わず私の自由を奪い去る。

決して何一つ拘束されているわけで無いというのに。

ジッとして、黙って彼の言葉を待たねばいけない。

そんな感覚に満ちてただひたすらに視線を交えれば、

「友達なんて必要ねえ、嫌われ者でいいんだよミモリさんは」

「っ……」

「俺だけの価値あるミモリさんでいい、俺だけがミモリさんの価値や良さを知ってればいい」

「九条く……」

「お互いに嫌われ者で、本質の良さを知るのはお互い同士で充分なんだよ」

「っ____」

なんて……横暴な。

そう思うのに……馬鹿なのかな。

思いっきり俺様な口説き文句に弾んだ心臓は正直だわ。

嫌われ者の彼が好きだなんて。