「ほーんと、あんたって残念美人よねえ。元はこーんなに整った顔にスタイル抜群だってのに、髪はいつだって黒の地毛を適当なクリップ留め、色気もない黒縁眼鏡に、何より愛想要素0!社交性0!お世辞も言わなきゃ仕事に関してはシビアで融通きかないから女子どころか男にも嫌煙されちゃってまあっ」

「分かり切った説明をどーも」

嘆かわしいと、ワザとらしく口元を押さえる姿を無感情に聞き流し、見流すのもいつもの事だ。

そんな私に『もうっ、』なんてふくれっ面で腕を組み眉根を寄せてきていた姿が意識を誘導するように私の頬に手を添えた。

それに抗うでもなく、スッと首を捻り隣に立つ高身長な『彼』を見つめ上げた。

そう、こんな口調であるが『彼』と称せる列記とした男であるのだ〝泉 響也(いずみ きょうや)〟は。

デザイン部の一二を争うデザイナー。

女の子の可愛らしさを引き出すのが天職だと言い張るこの男のデザインは確かに人気がある。

こんな口調で美意識は並の女子より高いが、本人曰く性癖は至ってノーマルで恋愛対象は女性らしい。

その容姿はモデル顔負けに端整な顔立ちにスタイル、怠らないスキンケアでその辺の女子より肌も髪も艶やかに潤っている。