「え……反対しないの?」

「しないよ。むしろうれしいわ。弟ほしかったし」

そう言う俺に母親は瞬時にボロボロと涙をこぼしたからビックリする。

「泣くことないだろ」

オロオロする俺に母親は子供みたいに泣いている。

「だって反対されると思ってたから。でも、お母さん産みたいの」

「してねーよ。むしろ大歓迎」

新たな生きがいがあればきっとこの家ももっと元気になる。
そんな気がした。

「そうよね。やっと言えたからよかった」

涙を拭う母親が、
「もう、お父さんは肝心なときはいつも逃げるんだから」
と二階を見上げてぼやいた。

「ま、いいんじゃねぇの」

「そうよね」

うれしそうに饅頭をほおばる母親を見て納得。
最近、やたら食べているのはそのせいだったのか。