「落ち着いた?」

な私は声を出すことが出来何度も頷く。
優しい声音で尋ねてくるユイくんの声でさえも心臓が跳ねてしまう。

「驚いた?」

口元に手を当てこらえるように笑ってる。

「あ、あれって…」

本当?と尋ねようとする前にユイくんが口を開く。

「どっちだと思う?」

こちらの反応を伺ういつものユイくん。
「…やっぱりいつもの嘘?」
だんだん悲しくなっていく。
まぁ、冗談を真に受けた自分が悪いのだけど。やっぱり今回のはいつもみたいに疑うことが出来なかった。
なんだか、泣けてくるなぁ。と思いつつ、涙をこらえる。



「また今度、ちゃんと言うよ」



そう言って私の髪を優しく撫でる。
その行為にまた一気に体が熱を帯びる。
その目が、私を見る目が優しくて。だけど、どこか悲しそうで。
なんで、なんでそんな目で見るの…?

「ユイくん、どうしたの?」

なんで悲しそうなの?と、問う前にいつもの笑顔のユイくんに戻っていた。

「ん?」
「あ、なんでもない、なんでもないよ」
「そう」

そう言えばいつからだっけ。
ユイくんが“俺”から“僕”になったのは。