トントン。


しらばくしてから机を小突く音がした。
ゆっくりとユイくんの方を見るが彼はもう授業に入っている。が、私のノートに言葉が並んでいた。


『授業に集中してね』


と。
集中したいけど集中出来ないの。そう思い私もペンを走らせる。


『分かってる、さっきのこと忘れて』


そう書き私も黒板を見つめる。
しばらくするとユイくんは少しだけ下を向きペンを動かす。



『目が合ったこと?それとも僕のことをずっと見てたこと?』



ずっと…って気づいてたの!?
驚いて顔を上げるとユイくんがこちらを向いていた。反応を楽しんでいるようだ。慌てちゃだめ。平常心平常心…と心を落ち着かせる。
するとユイくんは私が先程見た場所より下のところを指さした。


「っ!!」




『さっきの答え。A.好きだよ』





さっきの答えって…。
ぐるぐると頭を回転させる。心臓が破裂しそうなくらい脈打っている。



_______________私のことどう思ってる?





「先生、八上さんの体調が悪そうなので保健室に連れて行ってもいいですか?」
「え、」
ユイくんは口元に指をあて、悪戯っ子のような笑みを見せた。

「大丈夫?八上さん。無理しちゃダメよ、早く行きなさい」

先生が心配そうにこちらを見ている。顔が赤いから熱があると思われたのか。

「あ、りがとうございます」
「ほら、行こうか」

ユイくんが私を連れ保健室へ向かった。