登校中。
朝の出来事についてちょっとした説教をしていた。これも泊まりに来た日の恒例のことで。
「もう…っ、嘘でもああいうこと簡単に言わない方がいいよ」
本気にしちゃう子だってるんだからね、と。

実際ユイくんは女子から人気がある。整った顔立ちに、誰にでも優しい性格。そしてミステリアスな雰囲気。
きっと、ユイくんならすぐ彼女できるんだろうな…と思うと何だか悲しい。
多分私はユイくんの幼馴染どまりだから。
……あと普通に女子からの目線が怖い。

「大丈夫だよ。那月にしか言ってない」
「嘘ばっかり」
「本当だって言ったら?」
「…っ!そういうとこだよ!!」
そう言うと声を堪えるように笑うユイくん。

そう言われて嬉しい自分もいるが、本気にするなと警告する。本当に同い年なのかと思うくらい大人びている。
ただ、今のように無邪気に笑う姿はユイくんがまだ子供だっていうことを証明してくれていた。