今日は月曜日。学校がある日だ。
しかし、アラームがなっているのにも関わらず、私は布団からなかなか出られずウトウトしていた。

_______________コンコンコン。

「…どうぞ」
どうせ彼だろうと思い、返事をする。
案の定、扉から顔を覗かせたのはユイくんだった。昨日はユイくんのお父さんが帰ってくる日。家にいたくないユイくんは幼馴染である私の家に泊まりに来るのだ。そしてその日の日課として私を起こしに来る。

「起きてるなら早くベッドから出ておいで」
ほら、と微笑んで両手を広げてみせるユイくん。
かっこいい。
いつからか、ユイくんを幼馴染から異性として見てしまった私からしたらもうとんでもないくらいかっこいい。
「やだ、まだ出られない」
こんな顔見せられるわけないじゃん…と思いつつユイくんに背を向ける。

朝に弱いのは仕方が無いことだと思ってるけど、どうしても体が動かない。眠たい。


とんとん、と近づいてくる音がして、その後にベッドが軋む音がした。彼が腰を下ろしたみたいだ。

長い沈黙。



「好きだよ」
え?何て……。もう一度理解しようとするが何度繰り返してもそうとしか聞こえない。
「…っ!」
「照れてるの?可愛いね」
「〜っ!!!」
耳まで赤くなるのを感じる。
本気にしちゃダメ。
きっとユイくんお得意の嘘なんだから。

そう、彼はことあるごとに私を翻弄する。
それがいつも同じ表情だから尚更分からない。昔からそうだった。いつも不思議な雰囲気でそこに惹かれていったんだっけ?
いつだって心をかき乱されるのは私の方だ。



「ねぇ、だから顔見せてよ?」
と、顔を寄せて来て耳元で囁かれる。
いつもと違う少し低めの声。


「わ、分かったからもうやめて!!」
恥ずかしくて死んじゃう。
いつもこうやって音をあげるのは私。ユイくんには敵わない。