「ユイくん、由都くんに何か用があったの?」
「やはり知っているのですね!」
どこにいます?そう尋ねる秋原くんの顔を見て肩が震える。

「教えない」
「え?」
「なんで、知りたいの?」
「理由を言うわけにはいきませんので」

教えちゃいけない気がする。
「私たちがあんたに棗くんの個人情報教えるわけないでしょ」
「莉奈…、」
「これで話はおしまい?帰るよ、那月」
莉奈は私の手を引いて教室から出ようとする。





「那月……七条夫妻の子供か」





「え、」
耳を疑った。
なぜ知っているのか。
振り向けば秋原くんは笑顔で手を振る。


「今日はありがとうございました」


また、明日是非お話を_______________。


丁寧な口調で告げる秋原くんのその顔を見て黒いものが私の周りにまとわりつくような感覚を覚えた。