あの日からユイくんが家に泊まりに来ることはなくなった。しかし、前よりも傷が増えていく。学校に来ない日も増えた。


「那月、大丈夫?」
「あ、莉奈…。大丈夫だよ」
「棗くんも何やったらんだか…。こんなに待ってくれてる人がいるってのに」




_______________ガラッ。




「席につきなさい。転入生です」

先生の言葉に一瞬でざわつ教室。転入生だなんて聞いてなかった。
そして転入生が入ってきた途端に、誰もが転入生に目を奪われざわつきは消えた。

「初めまして。秋原 奏といいます。親の仕事でドイツから日本に帰国しました」
よろしくお願いします、と頭を下げたその人を私はどこかで見たことがある気がした。