いつもとは違う少し弱い声。
いつものユイくんだったら 冗談だよ、とか 本気にした？とか聞くのに。

｢ユイくん、どうしたの？｣
朝からずっと調子が変だ。何があったの、と聞きたいけれど、お互い両親に関しては無干渉だったからか、どこまで踏み込んでいいのかわからない。

｢あぁ、先生に呼ばれてるんだった。じゃあね｣
｢あ、ちよっと…｣

行ってしまった。
｢那月？どうしたの？｣
｢あ、えっと…ユイくんの様子がいつもと違ったなって｣
｢そう？私には分かんなかったけど…那月が言うならそうかもね｣
と、言って莉奈は 行かなくていいの？と訊ねる。
｢え、どこに？｣
｢棗くん、追いかけてあげたら？ちょっと違うんでしょ？そして気になること聞いてきなって｣
ね？と、私の背中を押す。
いつだって、莉奈は私を励ましてくれる。アドバイスをくれる。それに何度救われたことか。
｢…ありがとう｣
｢いいっていいって｣

｢いってくるね｣
｢頑張って｣


私はユイくんの後を追って駆け出した。