「莉奈、私って頼りないかな」
今朝のことが気になって相談する。
頼りないのは自分でも分かってる。朝弱いし、忘れっぽいし…。
「また、棗くん絡み?…いーんじゃない、そのまんまで」
「え、」
「弱気なの那月らしくないよ、もっと笑って」
ほら、と頬を引っ張る莉奈。
「いひゃい」
「そりゃ引っ張ってるんだもん」
「ふっ、変な顔」
急に聞きなれた声が聞こえて慌てて莉奈の後ろに隠れる。なんで隠れたのかわからないけど、咄嗟に。
「棗くんじゃん」
「なんで那月は隠れているのかな?」
「そうやって乙女の心情が察せないからいつまで経っても恋人できないんじゃない?」
「り、莉奈!?」
「いいよ、別に。全部自分で断ってるし」
少し遠くの方を見る。
そしてユイくんがちらりとこちらを見た時にまた目が合ってしまった。そしてふっと…悲しげな表情をする。
_____________僕には那月がいればいいから。
と、小声で呟くがしっかり私の耳に伝わっていて。恥ずかしいけど、嬉しくてつい緩んでしまう口元を慌てて袖で隠す。
「って言ってるけど?」
莉奈はにやにやしながら問いかける。こうやって意地悪な姿はユイくんに似ていると思う。
「前も言ったでしょ、本気にしちゃう子がいるかもしれないから軽々しくそういうこと言っちゃダメだって!」
「これは嘘じゃないよ」
「ほら、いつものう、そ………え、」
「これは嘘じゃないから」